6月初旬には、訪日したオランド仏大統領と、ヨルダンやベトナム、シンガポールなど東南アジア諸国への原発輸出で協力することで合意。同月中旬には、主要国(G8)首脳会議(サミット)への出席に先立ち、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアの東欧4カ国の首脳との会合で原発を売り込んだ。
プラントメーカー関係者は「原発輸出は1基当たり数千億円の大型商談だ。企業の力には限界があり、首相の積極的な働きかけは大歓迎だ」と喜ぶ。
これほどまでに首相が原発の売り込みに意欲を燃やす背景には、国内での原発新設が厳しくなった半面、海外で原発の需要が高まっているという現実がある。
2030年には800基…世界で増殖する原発
電力会社や原子力発電メーカーなどで組織する「日本原子力産業協会」によると、世界の原発は11年末時点で約430基に上る。最多は米国の104基で、フランス(58基)、日本(50基)、ロシア(29基)、韓国(23基)-の順に続く。