テレビなど家電の価格は下落幅が縮小傾向にある=26日、東京都千代田区のビックカメラ有楽町店【拡大】
百貨店の売り上げ構成にも変化が見えつつある。6月の全国百貨店売上高は前年同月比7.2%増。6月に前倒ししたセールの効果が大きいが、2カ月連続で衣料品や雑貨、家庭用品など主要5品目が全てプラスに転じ、「セール以外の通常価格品の衣料品に手を伸ばす来店客も多くなった」(高島屋)。
一方、食料品などへの支出は財布のひもが固く、スーパーなどは値下げ競争が続く。ダイエーは6月8日に食品や日用品など計約700品目を平均15%値下げした。昨年9月から続く値下げ戦略の第5弾で、これまでの値下げ品目数は延べ6700品目にのぼり、対象商品の売上高は値下げ前の1.2倍となった。
西友も今月5日、食品と日用品の計250品目を9月4日までの期間限定ながら85円に値下げ。今年中に計2000品目以上の値下げに踏み切る方針だ。
円安や原料高などを理由にパンや食用油などのメーカーは、7月から出荷価格を一斉に引き上げたが、スーパー各社は「メーカーと共同で物流の効率化に取り組み、価格は転嫁しない方向で努力する」(大手)という。ただ、「ツナ缶ではメーカーの値上げ分を販売価格に上乗せした」(都内のスーパー)など、仕入れ価格の上昇を吸収し切れない店舗も少なくない。
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「消費の広がりで、小売りにも値上げをしやすい環境が整ってきた。円安や原料高などもあり、徐々に値上げの動きが広がるだろう」と分析している。