経済成長の続く東南アジアの拠点タイはこのところ、年間の消費電力需要が4%を超える高い伸び率で推移している。慢性的な電力不足の状態で、ひとたび発電所でメンテナンスなどが実施されれば「計画停電」も日常茶飯事。日本の福島原発事故を“教訓”に原子力に頼らない電力政策を政府が模索していることもあって、電力不足解消の切り札も見つかっていない。
こうした中、じわじわと広がってきたのが太陽光や風力といったクリーンエネルギー。発電量では主力の火力に遠く及ばないが、この1年、着実に施設建設も進んだ。タイにおけるクリーンエネルギー発電の現状を調べてみた。
中部電など出資
「イサーン地方」と呼ばれるタイ東北部の玄関口ナコーンラーチャシーマー県。カオヤイ国立公園の麓に位置するこの地方は、なだらかな高原が続いており、山から吹き降ろす風が絶えることはない。この山麓の高台に設置された特設ステージで今年2月、インラック首相も出席して東南アジア最大規模となる風力発電所の運転開始記念式典が行われた。