安倍首相は消費税増税に伴う家計への8・1兆円の負担増からくる消費需要の減退とデフレ圧力の高まりを懸念し、5兆円の経済対策を打ち出した。前年度末の真水5兆円の補正予算で今年度の成長率が押し上げられているが、財政支出には限度がある。そこで政府は経済対策の目玉に復興特別法人税の来年度廃止など法人関連の減税を餌にして企業の賃上げを誘い、内需の拡大につなぐシナリオを描いている。
しかし、肝心の中小企業は輸出主導の大企業とは違って、消費税増税後の消費需要減の直撃を受ける。これまでみられたように価格交渉力は極めて弱く、収益はさらに低下すると懸念される。全雇用の3分の2を占める中小企業による賃上げのための経済環境は悪化し、法人関連税の減税で挽回できるはずがない。
アベノミクス指南役の浜田宏一エール大学名誉教授は「消費税の税率が2倍になると、その社会的な損失はその2倍でなく、その2乗、つまり4倍となる」(著書「アメリカは日本経済の復活を知っている」)と警告してきた。
冒頭の話に戻そう。半沢直樹さんの言葉を借りると消費税増税はまさに「倍返し」なのだ。が、被害者は消費者または納税者と中小企業で、財務省、金融庁や銀行はするりと逃げられる。半沢さん、どうする?(編集委員・田村秀男)