腐敗に手を染める医者、暴力に訴える患者、どちらにしても、病んでいるのは「心」の方であろう。医院での暴力事件の多発は、この国全体がかかっている深刻な「社会病」の象徴なのである。
近代中国の大文豪・魯迅は若い頃医者を目指していたが、中国人の最大の病気は「心の病」だと悟って、それを治すための文学の道へと転身したという。
この国が今、もっとも必要とするのは、やはり「魯迅」ではないだろうか。
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【プロフィル】石平
せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。