資本流出に歯止めがかからず、通貨リラは下落。同国は自動車など付加価値の高い産業規模が小さく、リラ安でも輸出は伸びない。「市場不安は同国の政情不安による」との見方がアナリストの間では多い。盤石に見えたエルドアン政権は最近、イスラムの支持勢力で仲間割れが起き、側近の汚職騒ぎなどで揺さぶられている。しかし、政局は国際投機筋の“売り逃げ”の口実にすぎない。その証拠に、トルコに限らず株や通貨の不安は新興国全体に及んでいる。政情が比較的安定しているインドネシアもトルコに連動する形で株価が下落している。
投資ファンドはグローバルな資産運用を行ない、米国市場がだめなら新興国での運用比率を引き上げるが、米国市場が回復してくれば、さっさと手じまいする。新興国ブームは、いわばドルの洪水に浮かぶバブルだったのだろう。
日本も株高で浮かれてはいられない。米欧の投資ファンドを中心にした外国投資家は「円安=日本株買い」という自動売買プログラムを稼働させるので株高が導き出されるが、外国投資家の投機に左右される点では、東京市場もイスタンブール市場も同じなのだ。