日銀の異次元緩和はそんな不安を吹き飛ばしてくれるのか。下のグラフを見よう。日銀は昨年1年間で61・4兆円もカネを発行して、金融機関から主に国債を買い上げてきた。日銀マネーが直接、金融機関経由で株の購入に充当されるわけではないが、緩和マネーはドルなど他通貨に対する円安を招き寄せる。結果、前述の自動売買プログラムで株高が導き出されて日経平均株価は年間で5割以上上昇し、東京証券取引所の株式時価総額は180兆円余り膨らんだ。
では、実体経済にどれだけカネが回ったのか。まず銀行の資産は約41兆円増えた。日銀が銀行から国債などを買い上げた分、銀行は資金を受け取るが、その97%の63兆円はそのまま民間銀行が持つ日銀の当座預金にとどめ置かれている。
なにしろ日銀はこの銀行の余剰資金に0・1%の金利を払ってくれるので、銀行は積極的に貸し出しに回さなくてもよい。したがって、貸出増加額は日銀資金供給増加額の32%弱の14兆円にとどまっている。