財務省は25年度、公共事業予算を前半に集中して執行し、消費税増税の判断基準になる4~6月期の成長率のかさ上げに成功し、増税を渋る安倍首相を押し切った。味をしめてもう一度、というわけだが、予算の先食いの反動が必ず来る。昨年10~12月期以降は公共投資が細って、成長率を大幅に押し下げてしまい、投資家や企業者に冷や水をかけた。
前回の消費税増税時、政府は公共事業費を8年度に前年度比3兆円、9年度で同7000億円減らし、増税と合わせた緊縮財政で回復しかけていた景気を圧殺した。今回、大型補正を合わせた15カ月予算ベースでみると、来年度の公共事業予算は今年度を3兆円程度も下回る緊縮だ。前倒し、集中発注というカンフル注射での景況はしょせん、つかの間でしかない。薬切れで景気の体力が萎える。それが消費者心理をさらに悪化させると、国内外の世論はアベノミクスに失望するだろう。
せっかく脱デフレに向け自律的な回復軌道が見え始めたというのに、政府が自らの政策でそれを壊すのは悲劇と言うよりも奇々怪々、不可思議である。安倍首相は少なくとも、消費税追加増税の判断基準は7~9月の瞬間風速の数値ではなく、より長い期間を見渡した経済成長の持続力に置くべきではないか。