また、フィリピンの米商工会議所幹部は「特にハイテク分野の知財保護の進展は目を見張るものがある」と述べ、米企業や投資家にとって魅力的なビジネス環境が整いつつあるとの認識を示した。
こうした声を受け、フィリピンのドミンゴ貿易産業相は「政府の取り組みが評価された」と述べ、両国間の関係にとって望ましいと米国の対応を評価。ベニグノ・アキノ大統領が前向きとされる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加に一歩近づいたとの見解を示した。
ただし、フィリピン国内では依然として知財保護の面で立ち遅れているとする声もある。同国の海賊版製品などの国内押収額は11年に年間過去最高の83億8000万ペソを記録したあと、12年には約40億ペソに急減。減少傾向に入ったかと思われたものの、13年には78億3900万ペソと急増し、今年も過去最高を更新する可能性が浮上している。
同国知的財産局の幹部は、知的財産権侵害に対する罰金が5000~15万ペソにとどまるなど罰則が軽く、企業などからの通報も少ないと指摘。知財侵害に対する認識が浸透するまでには至っていないと現状を分析し、引き続き法整備や啓蒙(けいもう)活動の強化が必要だとの認識を示した。(シンガポール支局)