関西電力大飯原子力発電所(福井県)の運転差し止めを命じた福井地裁判決に対し、地震や法律、エネルギーの有識者からは「科学的な判断ではない」「論理が飛躍している」などと疑問の声が上がり始めた。関電が控訴したため、判決は確定しておらず、政府は従来方針通り安全性が確認された原発を再稼働させる方針だ。
「当社の主張が理解されず、誠に遺憾。控訴審でも大飯原発の安全性を主張していきたい」
関電の八木誠社長は23日の電気事業連合会会長としての記者会見でこう語った。判決内容についての具体的な言及を避けたが、有識者からは判決を疑問視する声が目立つ。
訴訟の最大の争点は、原子力規制委員会の安全審査でも重視される基準地震動(想定される地震による最大の揺れ)。
関電は当初、700ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)とし、1.8倍の1260ガルまで耐えられると主張。しかし判決は、国内の地震で過去に最大4022ガルが観測された例を引き合いに、「1260ガルを超える地震で(炉心などの)冷却システムは崩壊し、メルトダウン(炉心溶融)に結びつく」と断じた。