高さ22メートルの防潮堤の建設が進む中部電力浜岡原発。安全対策の総額は3000億円におよぶ=静岡県御前崎市(同社提供)【拡大】
■競争電源か公益電源か
≪原発に変革迫る自由化≫
戦後長らく続いてきた日本の電力体制を見直す「電力システム改革」に政府が邁進(まいしん)している。家庭向けを含めた電力小売りの全面自由化が中核で、競争を通じた料金引き下げやサービス多様化が期待されている。一方で、巨額の投資コストを必要とする原子力発電所をどう運営するかは自由化後の大きな課題となる。電力会社が料金を競う自由化の下では、投資を料金で回収することが難しくなるからだ。エネルギー基本計画で「重要なベースロード電源」とされた原発を自由化後、どのように位置づけるのか、電力の安定供給を踏まえた戦略が求められている。
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■「活用」に向け問われる制度設計
「民間が原子力を担っていくため、新たな『国策民営』のあり方について速やかな検討をお願いしたい」
電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は、4月18日の定例会見でこう訴えた。政府が電力改革を急ピッチで進める中、国が計画し、民間の電力会社に運営を委ねる「国策民営」の形がとられてきた原発事業のあり方を再考するよう求めたものだ。
電力業界に共通するのは、電力改革後も原発を維持するための巨額の資金調達をまかなえるかという懸念だ。現在、電力大手は人件費や設備投資などの費用に一定の利益を上乗せして料金を決める「総括原価方式」が認められている。先々に必要となる資金をあらかじめ料金に織り込み、設備投資に必要な資金を安定的にまかなうことが可能となる。