高さ22メートルの防潮堤の建設が進む中部電力浜岡原発。安全対策の総額は3000億円におよぶ=静岡県御前崎市(同社提供)【拡大】
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■3段階で市場改革推進 「発送電分離は安定供給に支障」…改正法成立へ曲折も
電力会社の地域独占が認められてきた電力市場は、平成12年以降、段階的に自由化されてきた。当初は電力を大量消費するデパートや大規模工場が対象だったが、16年以降は中規模の工場やスーパーにも拡大、現在は契約電力50キロワット以上の中小工場も対象となり、電力会社以外の特定規模電気事業者(新電力)が参入している。
改革の“本丸”と位置づけてきた家庭向けの自由化は進まなかったが、前進に転じたのは23年の東京電力福島第1原発事故がきっかけだった。震災直後、西日本には電力が余っていたにもかかわらず、東日本の電力不足が深刻化した背景には地域独占体制が阻害要因となったとの指摘があったためだ。自由化で競争を促進して料金を引き下げる必要性も強調された。
24年2月には経済産業省の総合資源エネルギー調査会傘下の有識者委員会で、電力システム改革の議論を開始。同年12月の自民党への政権交代後も改革方針は変わらず、25年2月には有識者委によって改革を求める報告書がまとめられた。
電力改革は今後、3段階で進める計画で、昨秋の臨時国会では第1弾として全国規模の電力需給調整を担う組織の設立などが盛り込まれた改正電気事業法が成立。新組織は災害などで地域的な電力不足が発生した際、他地域の電気事業者に発電量の拡大や電力融通を指示する強い権限を持つ。
今年1月には民間電力会社などで構成する準備組合が発足し、名称を「電力広域的運営推進機関(通称・広域機関)」とすることが決まった。7月以降に経産相に設立認可を申請し、27年4月の業務開始を目指している。