このため、政権内からは「人事刷新を契機に、本来の『合議制』を徹底すべきだ」との声も聞こえてくる。
9月に任期満了を迎える島崎氏の後任は、石渡(いしわたり)明・東北大教授が就く。岩石の研究が長く、原子力業界とのかかわりは小さいことから、経済産業省幹部は「どれくらいやってくれる人かはアンノウン(不明)」と打ち明ける。
もう一人の新委員は、田中知(さとる)・東大大学院教授。経産省審議会の原子力部会長を務めるなど原発推進を担ってきたため、政府関係者は「再稼働に追い風が吹く」と期待する。
だが、島崎氏は「脱原発派」からも一目置かれていただけに事実上の“更迭”には反発も予想される。電力業界関係者は「しばらくは新委員も慎重にならざるを得ない」と分析する。
BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストはこう指摘する。
「(原子力の)専門家でも再稼働へくみするばかりの発言はしにくい。国が合格の指針を示す必要がある」