中国には特殊な政治システムがある。共産党の指令ひとつで中国人民銀行が創出、かつ管理する巨額の資金を配分する。第1に、不動産相場が急落を続けるようだと、党中央は人民銀行と国有商業銀行に命じて国有企業や地方政府に資金を流し込み、不動産買い上げに走るだろう。理財商品が焦げ付いた場合、やはり党指令で資金が投入され、理財商品への投資家は保護され「取り付け」騒ぎを防げる。
第2に、仮に大手国有商業銀行のバランスシートが大きく毀損しても、中国は380兆円以上の外貨準備を保有している。この外貨準備を金融機関向け資本注入用に使える。
現に、北京当局は2000年代後半に大手国有銀行を香港などに上場させる際に、外貨準備を使って不良債権を償却第42回中国不動産バブル崩壊不発でもさせた。信用不安は銀行の債務超過が露見したとき起きるのだが、不透明な党指令型のシステムでは見えなくすることも可能だ。そんな具合で時間を稼いでいるうちに不動産相場が反転すればまずは一件落着となる。