政府が沖縄を除く9電力管内に要請した節電期間が7月1日から始まる。東日本大震災後、初めて原子力発電所が稼働していない「原発ゼロ」の夏となり、昨年よりも厳しい電力需給が予想される。原発を代替する老朽火力発電所のトラブルも懸念されている。
企業の生産自粛によって景気が腰折れすることを防ぐため、政府は昨年に続き節電の数値目標は設けない。関西電力と九州電力管内は東京電力から計58万キロワットの応援融通を受けるが、電力需要のピークに対する供給余力(予備率)は、安定供給の最低ラインとされる3%にとどまる。西日本の電力会社に大量の電気を送る電源開発(Jパワー)の松浦火力発電所2号機(長崎県、100万キロワット)は定期点検中に起きたタービン損傷事故の影響で停止中。8月中旬に40万キロワット分を仮復旧させるが供給力への効果は限定的だ。