中国ではGDP成長率1%で約130万人分の新規雇用が創出されると試算されており、毎年1千万人近くの大卒者など高等教育を受けた若者の就業先を確保するボトムラインは7・5%となる。さらに習指導部は2年前、20年までに10年比で名目GDPを倍増させ、住民の所得を倍増させるとまで公言している。
いずれも格差是正や社会安定の確保が念頭にあり、おいそれと取り下げられない。
仮に景気が悪化して失業率が増大したり、所得が落ち込んだりした場合、経済格差に苦しむ一般住民の不満をどう和らげ、社会不安を抑制するか。その予防線として、「新常態」というキーワードに期待しているのではないか。
問題はしかし、「鉄道貨物輸送量など実態に即した3つの経済統計から判断して、中国の成長鈍化は推定値も大きいGDP統計数字を下回る可能性がある」(三井住友アセットマネジメントの浜崎優シニアストラテジスト)との疑念が消せないことにある。