「税収弾性値」という数値が、国家経済政策の要の予算を運営し、税制を動かすための羅針盤となっている。安倍首相は弾性値をこのままにしておかず、精確な弾性値を内閣府や御用学者ではない専門家に算出させて2015年度予算以降に生かすべきだ。このままでアベノミクスが挫折すれば、日本の未来は閉ざされかねない。
景気の好転を受けて、2013年度の一般会計税収は前年度実績(43・9兆円)比で6・9%、3兆円余り増えた。財務省はこれについて、2013年度の当初予算の税収見込み43兆円と比較せずに、補正後の予算で見込んだ税収に比べて「1・6兆円上ブレ」と矮わい小しょう化した数値を記者発表した。財務省はご丁寧にも、1・6兆円分のうち1兆円は「一時的要因による」と説き、アベノミクスによる増収効果を打ち消すことに努めた。
名目GDP(国内総生産)の前年比伸び率は1・9%であるのに対し、税収総額は6・9%伸びた。GDP増加分1に対して税収がどれだけ増えたかという税収弾性値は3・7で、従来の実績値である3-5%の範囲内だ。