財務省は税収弾性値を1・1程度にしか見ない。内閣府は経済モデルを使った「経済成長と財政健全化に関する研究報告書」(2011年10月17日付)で2001-2009年の税収弾性値を4・04と算出している。財務官僚は弾性値を決め打ちする。そんなデタラメ計算をもとに国家経済政策の要の予算を運営し、税制を動かす。この狂った国家経済の羅針盤(税収弾性値)をそのままにしておかず、首相は精確な弾性値を内閣府や御用学者ではない専門家に算出させて2015年度予算以降に生かすべきだ。
その財務省が2014年度に見込んでいる一般会計税収総額は50兆円で、3兆円余りの増収である。内訳を見ると、2013年度に比べて増加しているのは税率を8%に引き上げた消費税収(増収額4・47兆円)だけで、所得税収と法人税収はそれぞれ7300億円、4900億円の減収となる。こうした税収減は通常、景気の失速を前提にするのだが、2013年度税収を意図的に低く見積もり、消費税増税効果を際立たせようとする財務官僚の数字操作のたまものだ。