【飛び立つミャンマー】高橋昭雄東大教授の農村見聞録(20) (3/3ページ)

2014.10.10 05:00

中国からのF1ハイブリッド種子で作られた西瓜。ラグビーボールのような形で、日本の西瓜よりかなり大きい=ミャンマー・チャウセー郡(筆者撮影)

中国からのF1ハイブリッド種子で作られた西瓜。ラグビーボールのような形で、日本の西瓜よりかなり大きい=ミャンマー・チャウセー郡(筆者撮影)【拡大】

 ◆土地買いあさりの噂

 ここまでなら、すべてがハッピーだが、どうもそういうわけにはいかない。彼が雲南省あたりに住む中国人のために農地を買いあさっていると指弾する人もいる。

 他にも、最近チャウセー町で最も大きな精米所を作ったゾーティン氏や建設業者のナインリン氏(両人とも仮名)、マンダレーの商人たちが、中国人の命を受けて農地買収を進めているとの噂がある。現地の仲介業者によれば、チャウセー郡の農地の3分の1が中国人の手に渡ったという。

 しかし、彼らと中国人たち、および彼らと売主の間には、何人も名義貸しをしている人たちがいて、実態をつかむのは不可能であり、またいかなる証拠もない。

 ロケットのように高騰し、もはや農業をするための地価ではなくなってしまった農地価格から、庶民はその灰色の背景を取沙汰することしかできないのである。

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