日銀が20日発表した10月の地域経済報告(さくらリポート)は、全国9地域のうち、東北の景気判断を前回7月から引き下げた。景気判断引き下げは1年9カ月ぶり。東日本大震災の被災地以外での公共事業の減少などが下押し要因となった。残る8地域は判断を据え置いた。一方、基調は今年1月以来、4四半期連続で、全地域で「回復」の表現を入れ、景気の底堅さを示す内容となった。
需要項目別では、個人消費が北海道で判断を上方修正し、他の8地域は据え置いた。消費増税に伴う駆け込み需要の反動については地域によってばらつきはあるものの、「全体として和らいでいる」などの報告があった。「訪日外国人観光客の消費の下支え」(宮野谷篤・大阪支店長)効果も指摘された。
生産は東北と関東甲信越、中国、九州・沖縄の4地域で引き下げた。雇用・所得環境については「着実に改善している」と判断。特に所得は関東甲信越と近畿、中国、九州・沖縄の4地域について上方修正した。
国内景気の先行きについて、黒田東彦総裁は同日の支店長会議で「緩やかな回復基調を続け、駆け込み需要の反動などの影響も次第に和らいでいく」との見解を示した。