年末ぎりぎりにまとまった平成27年度税制改正大綱の狙いは明確だ。少子高齢化が進む中、いかに日本経済の再生を図るか-。安倍晋三首相が導き出した答えは、子育て世帯や企業を税制面で優遇することだ。その結果、財政再建が後回しになるのは、ある程度はやむを得ない。今回の税制改正は、「経済再生なくして、財政再建はあり得ない」と主張する“アベノミクス”の基本理念を地でいく内容となった。
「それじゃダメだ」
今月14日投開票の衆院選直後、甘利明経済再生担当相は財務官僚の“提案”を即座に却下した。財務省の提案というのは、法人税の実効税率の下げ幅に関し、27年度は2%程度、2年で2%台後半とする内容。たが、甘利氏には、財政再建を優先させようとするあまり、少しでも減税幅を抑えようとする財務省の抵抗としか映らなかった。
もともと、甘利氏ら首相周辺には、財務省に対する不信感がある。今年4月の消費税増税前、景気への悪影響を懸念する首相らに、財務省は「経済対策の効果で景気は持ち直す」と説明していた。ところが結果は、景気は持ち直すどころか、個人消費を中心に、今も冷え込んだままだ。