業者らが当初、一円玉の確保に走ったのは、財務省が2013年12月に一般流通向けの一円玉の製造を4年ぶりに再開すると発表したことが影響したとみられる。増税前の一円玉流通量は389億枚と硬貨で最多だったが、政府は14年1~3月に約2600万枚の製造を追加。14年度も前半を中心に1億6000万枚の製造を決めた。
念には念を入れた政府の対応の背景には、過去の手痛い教訓がある。消費税が1989年4月に3%の税率で導入された際、一円玉の需要が急増。小売業者や金融機関などで一円玉の深刻なストック不足が生じた。税率8%への増税に伴う一円玉の大量供給について、財務省理財局は「貨幣の円滑な供給を守るため」とだけ説明するが、混乱の再現を避けるのが狙いだったのは想像に難くない。
だが、蓋を開けてみると「万全の構え」は空振りに終わる。一円玉の流通量は14年6月に387億枚に減り、さらに増税から半年後には3億枚も減少し、9月以降は386億枚となった。