■合意期限「5~6月」
TPP交渉は年明け以降、米オバマ政権が積極姿勢を強め、合意の機運が盛り上がりをみせていた。TPA法案も当初は3月中の可決が見込まれ、日本政府内では「3月にも12カ国の閣僚会合を開いて交渉全体の大筋合意にこぎ着ける」との期待も高まっていた。
ところが、実際にはオバマ政権の法案提出に向けた与野党への根回しが十分にできていない状況が浮き彫りとなった格好。提出されても審議に最低4週間はかかることから、交渉筋は大筋合意も「5月以降にずれ込むとみるのが現実的」と指摘する。
日本の政府高官によると、米国は来年になると次期大統領選に突入するため、米議会がTPP関連法案の採決に時間を割けるのは「ぎりぎり来年2月ごろまで」と共和党関係者から伝えられているという。関連法案の審議にかけられるのは90日で、交渉の合意から法案の議会提出までに必要な手続きには5カ月かかるとされる。
オバマ政権のもとで関連法を成立させるには、逆算すると「今年5~6月」が合意期限となるわけだ。それ以降に合意しても、関連法案の採決は新政権の発足後に持ち越され、次期大統領次第では交渉が「白紙」に戻る懸念も否定できない。5~6月までに合意できなければ、交渉は中断を余儀なくされそうだ。