だが、AIIBがこうした仕組みを構築し、担当者を育成できるか不明だ。融資判断も中国が独自基準を採用する可能性が強いとみられている。
第一生命経済研究所の西浜徹主任エコノミストは「借り入れ国の返済ができなくなった場合は、既存機関との返済順位が問題になる」と警鐘を鳴らす。
低利を売りにした融資が増えれば、乱開発が進むことも懸念される。ADBは開発案件が環境に与える影響を事前調査し、外部の識者もチェックする。
ADBの中尾武彦総裁がAIIBの環境保護への配慮の必要性について指摘すると、中国の楼継偉財政相は「官僚主義で最良とはいえない」と反論。斎藤氏は「公正・公平な制度を担保し、透明性のある情報開示ができるのか」と疑問視している。