政府が1日発表した3月の経済指標は、世帯あたりの実質消費支出が前年同月比で10%以上減るなど、昨年4月の消費税増税に伴う駆け込み需要の大きさが色濃く反映された。ただ足元の個人消費は、増税の影響を受けやすい耐久財を除けば上向きつつあり、今後の回復は賃上げ効果も含めた消費マインドの高まりがカギとなりそうだ。
「受注が前々年まで回復していない会社もある。増税の影響はまだまだ続いているという印象だ」。日本自動車販売協会連合会(自販連)の林義高理事は、個人消費の回復について慎重な見方を示す。
3月の実質消費支出は、昨年の駆け込み需要が前回増税時(平成9年)と比較して大きかった分、下落幅も拡大。駆け込みの影響を受けやすい家電を含む家具・家事用品は39.6%減、自動車などが含まれる交通・通信は16.1%減だ。
今も耐久財販売は落ち込みが続いており、自販連と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した4月の国内新車販売台数は、前年同月比7.5%減の31万9482台で4カ月連続のマイナス。同月に軽自動車税が引き上げられたことで、軽自動車が22.5%減と落ち込んだことも響いた。
だが足元の個人消費は、消費税増税の影響を除けば“地力”を取り戻しつつある。3月の実質消費支出も、季節要因をならした前月比は2.4%増と、2カ月連続で前月を上回り、「強くはないが回復基調に向かっている」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)という。