軽減税率 自公隔たり、続く綱引き 制度設計を7つの視点で検証 (2/3ページ)

2015.5.28 11:26

与党税制協議会で挨拶する自民党の野田毅税調会長。左は公明党の斉藤鉄夫税調会長=27日午後、衆院第2議員会館(酒巻俊介撮影)

与党税制協議会で挨拶する自民党の野田毅税調会長。左は公明党の斉藤鉄夫税調会長=27日午後、衆院第2議員会館(酒巻俊介撮影)【拡大】

 「酒類を除く飲食料品」で2%の軽減税率を適用した試算では、年収251万円までの低所得世帯の場合、年間約8470円の税負担が軽減された。一方、「生鮮食品」が対象の場合は2325円、「精米」のみの場合は290円と効果が実感しにくい結果だ。

 一方、自民党は対象品目が拡大すると、社会保障財源に充てる税収減につながると懸念する。試算では酒類を除く飲食料品に2%の軽減税率を適用した場合、1兆3千億円の税収減となった。生鮮食品の場合は3400億円、精米のみの場合は400億円にとどまる。自民党は、財政再建に支障を来さない水準を模索する構えだ。

 野田会長は「結局議論が“堂々巡り”になる。課題や問題点を、乗り越えるための知恵をそれぞれが出すことが必要だ」と述べ、次回に両党で具体策を持ち寄る考えを示した。

逆進性緩和に疑義も

 また、所得が低いほど消費税の負担率が大きくなる「逆進性」の緩和効果の有無についても議論した。

 酒類を除く飲食料品の場合、低所得者世帯の負担軽減額は年間8470円だが、年収735万円以上の高所得者世帯では1万9750円と2倍超になり、高所得者に恩恵が大きいと試算した。軽減税率では、消費税の逆進性を緩和する効果に疑問符がつく。

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