AIIB、中国に「拒否権」 議決権最大30%握る見通し、米紙報道

2015.6.11 00:26

 【上海=河崎真澄】中国主導で設立準備が進む国際機関アジアインフラ投資銀行(AIIB)の運営をめぐり、発足当初から中国が単独で最大30%の議決権を握って「拒否権」を発動できる態勢となる見通しになった。米紙ウォールストリート・ジャーナル(中国語版)が10日までに伝えた。

 銀行運営の透明性確保に関し、中国の対外説明が十分ではないとして、日米は参加に慎重な姿勢を貫いている。中国が単独で拒否権をもつ組織となれば、中国の最終決定に従わざるを得なくなる懸念が強まる。

 同紙は、創設メンバー57カ国が6月下旬に北京で調印する予定の基本規定「定款」の草案を独自入手したという。定款の草案が明らかになったのは初めて。

 それによると、AIIBの資本金は1千億ドル(約12兆円)で中国は単独で最大の29・8%を出資する。出資比率に応じて議決権が決まるが、定款草案は中国の議決権を25~30%と幅をもたせており、最終調整に委ねられるもよう。

 重要案件の議決は全体の75%以上の賛成が必要となる規定だ。このため、中国が25%をわずかでも上回る議決権を握れば他をすべて合わせても75%に届かないため、事実上の拒否権を有する計算になる。

 融資案件の国際入札における応札条件では、アジア開発銀行(ADB)が加盟国の企業に限定しているのに対し、AIIBでは加盟国に限定しない公開入札制度を導入する。また監督組織となる理事会は置くものの、理事は無給で非常勤とし、電子メールなどで持ち回り決裁する見込み。

 迅速に融資を決定できる組織を目指し、環境や人権などの評価に時間をかける既存の国際金融機関とは一線を画す。国際機関としての中立性がどこまで保たれるかは未知数だ。

 

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