日中両国がタイやインドネシア、インドなどアジア各国を舞台に、高速鉄道の激しい受注競争を繰り広げている。日本の新幹線の強みは、開業以来、事故がほとんどないという「安全性」だ。一方、いまや高速鉄道の総距離では世界一の中国は、建設コストの「安さ」を前面に掲げている。どちらが受注を決めるかは、中国が打ち出した「一帯一路」(新シルクロード構想)やアジアインフラ投資銀行(AIIB)の展開にも大きな影響を与えそうである。
タイでは高速鉄道の建設計画(5路線)が持ち上がってから、二転三転を繰り返してきた。一時は中国がすべての路線を取るのではないかとの見方もあったが、今年5月に日本はバンコク-チェンマイ間の高速鉄道について新幹線の導入を前提とした調査を行う覚書をタイ側と取り交わした。これで新幹線方式での建設がほぼ確定した。
だが、中国側が完全に敗退したわけではない。中国は雲南省昆明とシンガポールとを結ぶ「汎アジア鉄道」構想を打ち出しているが、その一部であるバンコク-ノンカイ間などの路線では交渉が進んでいて、この秋にも着工にこぎつけるという。もっとも高速鉄道といっても、これら路線での時速は180キロ止まり。中国国内で普及している「動車」(低速の高速鉄道)に近い方式となりそうだ。