もっとも最近の中国経済は減速を強めている。8月には人民元の対ドル相場を事実上切り下げ、世界の金融市場を混乱させた。中国人民銀行(中央銀行)は人民元の水準をおおむねドルに連動させており、利上げが予想されるドル高に伴って元高になっていた。
人民銀は毎朝、対ドルレートの基準値を示し上下2%の範囲内で取引を認めている。3日連続の大幅な切り下げ(計4.65%)は「基準値を前日終値などを参考に見直した結果」(人民銀)と説明する。市場の値動きを反映することで、国家戦略として掲げる「人民元の国際化」をアピールしたい目的もあるようだ。
全国銀行協会の佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は今月17日の記者会見で、「為替市場への直接介入は避けるべきだというコンセンサスができた」とプラザ合意30年の意義を強調した。しかし、市場では人民元切り下げに対して、「プラザ合意の精神を無視した元安誘導」との批判も根強い。
「(市場への資金の流出入を制限する)資本規制の撤廃・緩和が(人民元)国際化には不可欠の条件」。日銀の黒田東彦総裁は15日の金融政策決定会合後の記者会見で、中国当局にこうくぎを刺した。(藤原章裕)