「追加緩和」か「据え置き」か-。30日に日銀の金融政策決定会合が開かれるが、市場では日銀がどう動くか見方が分かれている。22日の欧州中央銀行(ECB)の追加緩和方針もあって、ここにきて日銀の追加緩和観測が高まるが、黒田東彦総裁は慎重な姿勢を崩しておらず、判断は見通せない状況だ。(藤原章裕、中村智隆)
「最近の黒田総裁の発言からは、近い将来の追加緩和を示唆するセリフはほとんどない」
SMBC日興証券の宮前耕也氏はこう分析する。
足元の経済統計をみると、輸出や生産は弱いが、個人消費は底堅い。8月の消費者物価(生鮮食品を除く)は2年4カ月ぶりに前年比マイナスとなったが、主な要因は原油安だ。
日銀が独自算出する生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価は1.1%上昇したため、黒田総裁は7日の金融政策決定会合後の記者会見で「物価の基調は着実に高まっている」との認識を示した。
しかし、日銀は30日に発表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で平成28年度の物価見通しを引き下げる方向だ。「28年度前半ごろに2%」という物価目標達成がほぼ不可能となる中、みずほ証券の上野泰也氏は「大規模金融緩和への信頼感を維持しようとすれば追加緩和は避けられない」と言い切る。