実際、青色発光ダイオード(LED)の発明で2014年に物理学賞を共同受賞した米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授は、創業者が研究を全面支援してくれるという理由で日亜化学工業(徳島県阿南市)に入社。誰もがあきらめて見限った研究に20年以上も没頭した。02年に学士で化学賞を受賞した田中耕一氏も実験が存分にできるという理由で京都の企業・島津製作所に入社した。
「職人精神」は韓国社会になじむか?
韓国では、こうした「職人気質」を支える日本企業の風土にも注目が集まり始めているようだ。
梶田東大教授の物理学賞受賞では、素粒子「ニュートリノ」の観測装置スーパーカミオカンデで使用された高感度光センサー「光電子増倍管」を開発した、光学機器メーカー「浜松ホトニクス」(浜松市)が脚光を浴びた。
韓国経済新聞(日本語電子版)は浜松ホトニクスについて、社員数4000人余りの中堅企業だと指摘。30年以上前、梶田氏の師匠である小柴昌俊・東大特別栄誉教授(02年、ニュートリノの観測でノーベル物理学賞受賞)の「テレビのブラウン管サイズのセンサーを開発してほしい」とする難題を受け入れ、当時としては世界で最も大きな光電子増倍管を開発したというエピソードを紹介した。そのうえで、2人の栄誉の背後には、50年の伝統を持つこの会社の「職人精神」が一役買ったと強調した。