国際通貨基金(IMF)理事会は11月下旬、人民元の国際準備通貨単位である特別引き出し権(SDR)構成通貨認定について、投票権シェア70%以上の多数で承認する情勢のようだ。上海株式市場など金融市場の統制など、元はどうみてもSDRの条件である「自由利用可能通貨」を満たさない。ところが、英独仏など欧州は早々と支持表明した。金融界や産業界が元関連金融で得られる利益を重視したからで、その点では米国も同じで支持に回りかねない。
このまま元が国際通貨に仲間入りすれば、アジアでは元が貿易や投融資でドルと並ぶ標準的な決済通貨になり、円は排除されよう。元欲しさに、日本の産業界や金融界は北京詣でに腐心せざるをえなくなり、対中外交の手足を縛るようになるだろう。北京は、「SDR通貨」元を発行すれば、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)はドルに頼らなくても元建てで融資できるようになる。
中国の軍事部門は外貨準備を取り崩さなくても「国際通貨元」によって戦略物資や先端技術の調達が可能になる。米海軍がしばらくの間、南シナ海を遊弋(ゆうよく)しようとも、中国はSDR通貨元という軍資金を永続的に活用できるのである。日本がデフレを先延ばしするゆとりはない。