さらに目覚ましいのは対外資産の増加250兆円である。利益剰余金と対外資産は24年末までの3年間でそれぞれ14兆円、90兆円増加したのだが、アベノミクスによってその増勢が加速したわけで、余剰資金を米国など海外に回すという従来モデルが一層強化されている。消費税増税の衝撃で経済成長率がマイナスに落ち込んだ26年度、さらにことし前半とデフレ圧力の再燃は、民間資金の対外流出を促進する要因だろう。
翻って、安倍首相が掲げた名目GDP600兆円の達成は、カネの流れさえ変えれば数年のうちにでも可能とも読み取れる。アベノミクスは資金面で十分すぎるほどの余剰を生んだ。しかし、増税と緊縮財政という最悪の政策をとったために、成果を押しつぶしてしまった。
対外投資増加分のうち100兆円が国内投資に回れば、投資額をはるかに上回るGDPの拡大が見込まれる。あるいは、内部留保の増加分がまるまる国内の賃上げや設備投資に回れば同様だ。
民間は内需が冷えると見込む限り、国内雇用や投資には踏み込まない。予定通りの消費税率引き上げに踏み切るなら、全品目を軽減税率とし、GDP600兆円を達成してから軽減対象品目を見直せばよい。内部留保に課税して、勤労者世代に回せばよい。要は実行プログラムだ。