邦銀が市場でドルを調達する際のコストが急上昇している。この1年で2倍強に増え、2011年の欧州債務危機と同水準に到達。米国の年内利上げ観測などを受け、世界中の金融機関がドル資金の確保に走っていることが背景にある。海外戦略を加速している3メガ銀行にとっては、収益の圧迫要因となりかねない状況だ。
「邦銀の外貨資金繰りに問題がみられているわけではない。邦銀による外貨の安定的な調達基盤の確保やストレス対応力の強化に向けた取り組みを促していきたい」
日銀の黒田東彦総裁は19日の金融政策決定会合後の記者会見でこう述べ、ドル調達が難しくなったとしても、市場の安定化は可能との見方を示した。
日本の金融機関が「ベーシススワップ」と呼ばれる取引で、円をドルに交換する際に上乗せする金利はこの1年で2倍以上、2年で4倍以上に跳ね上がった。さらに米国では「欧州と日本の銀行がドル資金調達のため、企業向けの預金を獲得しようと米銀に比べ最大2~3倍の金利を提示している」との報道も出ている。