足元でドル調達コストが急速に上がってきた要因の一つに、ドイツ証券の村木正雄グローバル金融ストラテジストは「12月の米国の利上げ観測の高まり」を挙げる。利上げで予想される金融市場の混乱を前に、年末に向けてドル需要が一段と高まっているのだ。
さらに、金融規制の強化を受けて、米銀がリスク回避のため市場へのドル資金放出量を減らしていることが、需給の行き詰まりに追い打ちをかけている。
邦銀側にも事情がある。日銀が「異次元の金融緩和」を続けていることを受け、米格付け会社が相次いで日本国債を格下げ。これに伴い、邦銀も格下げとなり、社債発行によるドル調達コストの上昇につながっている。
全国銀行協会の佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は19日の記者会見で「一時的な負担増は覚悟しなければいけない」とドル調達コスト上昇への懸念を漏らした。金融庁によると、今年3月末の3メガ銀の外貨調達のうち、預金は33%にとどまっている。佐藤氏は「調達構造をしっかりと作り上げていくことが重要になってくる」と述べ、ドル預金獲得やドル建て社債の発行を増やしていく考えを示した。