環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)による影響試算を独自に行う自治体や農業団体が相次いでいる。政府が昨年末に示したTPPの影響試算は、農業の保護対策が有効に作用した場合に限定。大半の農産物への影響を限定的とした昨年11月の政府分析に続く“甘い”試算に、地方は不信感を募らせる。4日開幕した通常国会のTPP関連の議論において、野党の批判材料になりかねない状況だ。
政府の試算公表前に独自試算を示したのは和歌山、新潟、滋賀の3県だ。
新潟県は昨年12月1日、TPP発効後に価格が低い輸入米の影響が最も大きくなった場合、コメの産出額は約92億円減少すると試算。一方、高価格帯の県産コシヒカリの輸出が実現した場合は最大172億円の収入増になるというプラス面も同時に算出した。
同県は独自試算をした理由について「政府が示すTPP政策大綱や農産物の影響分析に具体的な中身がなく、今後を不安視する関係者が多いこともある」(県農業総務課)と明かす。