また、和歌山県は無対策の場合、県内の農林水産物の産出額が約55億円減少すると試算。主力のかんきつ類は2013年度に比べ13%減少し、かんきつ農家の所得は約3割程度減るとした。農業生産額で40億円減ると試算した滋賀県は、近江牛など牛肉の生産額が約9億円減ると懸念する。
こうした独自試算は都道府県の農協中央会などの農業団体にも広がり、既に茨城や静岡などが数百億円規模の生産額が減少すると試算している。政府の影響試算を参考にするため独自試算を見送ってきた自治体もあり、今後は独自試算を算出する動きが活発化する可能性も高まる。
政府のTPP影響試算では、実質国内総生産(GDP)を約14兆円押し上げ、農林水産物の生産額は約1300億~2100億円の減少にとどまると分析。農林水産物については対策を講じない場合の試算を求める声もあるが、森山裕農林水産相は4日の閣議後会見で、「前提の立て方が非常に難しく、現実とかけ離れている」と述べ、算出に難色を示している。