昨年12月の主要な経済統計が29日出そろった。雇用の現状を表す有効求人倍率は24年ぶりの高水準となったが、消費の不振は鮮明で生産や出荷も2カ月連続で減少した。エコノミストからは景気の足踏みが長引いているとの懸念は強いが、日銀の追加的な金融緩和決定によって「プラスの影響が期待できる」との声も広がる。
総務省が29日発表した家計調査(2人以上世帯)によると、1世帯当たりの消費支出は31万8254円で物価変動を除く実質は前年同月比4.4%減だった。4カ月連続の減少でマイナス幅は前月(2.9%減)より拡大した。
記録的な暖冬の影響でコート、セーター類などの「被服および履物」が16.8%減と大きく落ち込んだほか、電気代など「光熱・水道」も10.7%減った。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「暖冬に加え、テレビや自動車などの耐久消費財で消費税増税前の需要の先食いの影響がある」と語る。需要の減少で、昨年12月の鉱工業生産指数(季節調整値)速報値は前月比1.4%低下。中国経済の減速で輸出も低迷し、生産指数は15業種のうち11業種で落ち込んだ。