国内総生産(GDP)の6割を占める消費の不調はいつまで続くのか。第一生命経済研究所の高橋大輝副主任エコノミストは「緩やかな改善基調をたどる」と見込む。その理由にあげるのは雇用・所得環境の改善だ。
12月の有効求人倍率は1.27倍と24年ぶりの高水準で、基本給を示す所定内給与も増加基調が続いており、消費回復を後押しすると見る。ただ、年始からの世界同時株安を受けて消費者マインドが悪化し、「下振れリスクの方が高い」(高橋氏)との懸念は拭えない。
エコノミストには、来年4月に予定する消費税率10%への引き上げ前の駆け込み需要で、消費は一時的に盛り上がるものの、今年夏までは低調で推移するとの見方が強い。みずほ総合研究所の徳田秀信主任エコノミストは「賃金は物価ほど上がらず、消費の回復は鈍いだろう」と指摘する。景気停滞の長期化への懸念が強まる中、日銀が決定した追加的金融緩和。徳田氏は「賃金を上げる方向に効いてくるのではないか」、宮前氏も「住宅投資などが増えるかもしれない」と期待感を示す。