英哲氏は、工作機関の偵察総局長を務め、10年の韓国哨戒艦撃沈や延坪島(ヨンピョンド)砲撃を主導したとされ、韓国当局が「超強硬派」と目する人物だ。金第1書記の暗殺を描いた米映画会社に対して14年にサイバー攻撃を仕掛けたとも指摘されるほか、昨年8月には、南北の軍事的緊張を高めた非武装地帯(DMZ)での地雷設置にも関与したとされる。
相次ぐ挑発で外交的な亀裂を招いたとして本来、問責されるべき人物が、対外交渉を担う最側近の地位を固めたことになる。
ミサイル発射通告に対し、北朝鮮を擁護してきたロシア政府でさえ、「近視眼的な行為の代償を考慮すべきだ」と警告した。しかし、親中路線を進めた叔父の張成沢(チャン・ソンテク)氏を処刑し、対話派とされた養建氏も死亡した。その直後の強硬派の重用は、周囲が対話を進言する環境が失われ、金第1書記が強硬路線堅持を宣言したことを意味している。