採決結果で対立構図鮮明に
日銀が16日から始める「マイナス金利」は、黒田東彦総裁ら執行部が緻密な票読みをした上で、提案に踏み切ったものだ。だが、採決の結果は5対4と対立構図が明らか。日銀が8日公表した「主な意見」からは、物価上昇率2%の達成に向け、なりふり構わず突き進む黒田日銀の姿が読み取れる。
日銀が放つ「黒田バズーカ3」は、長期国債の買い入れを中心とする、従来の「量的・質的金融緩和」に、金利のコントロールを組み合わせる劇的な政策変更だ。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「事実上のレジーム(体制)転換を、よくもまあ5対4のギリギリの採決で決めたものだ」とあきれる。
反対した4人は、白井さゆり氏(前職・慶大教授)と石田浩二氏(三井住友フィナンシャルグループ専務)、佐藤健裕氏(モルガン・スタンレーMUFG証券チーフエコノミスト)、木内登英氏(野村証券チーフエコノミスト)-。4人は市場や民間金融機関への影響など、マイナス金利がもたらす副作用を指摘したが、執行部はこれを押し切る形で採決した。