2人の後任人事をめぐり、市場では早々と金融緩和に積極的な「リフレ派」の名前が挙がり始めている。ただ、白井氏は「女性・学者枠」、石田氏は「銀行枠」のため「執行部と完全に一致した人材が就任するかは不透明」(宮前氏)で、不安定な政策運営が続きそうだ。(米沢文)
■「マイナス金利」導入をめぐる主な意見
【賛成派】
・2%の「物価安定目標」に向けたモメンタム(推進力)を維持するため、導入が望ましい
・欧州諸国の経験から、効果や実務的な問題についても知見が集積されている
・「量」「質」「金利」の3つの次元で、追加緩和の余地が十分あることを示せる
・大規模な長期国債買い入れと合わせて、予想実質金利を一段と引き下げる効果がある
・一定額以上に適用する階層構造方式によって、金融機関への過度の負担を避けつつ、金融緩和効果を強化できる
【反対派】
・市場にかえって政策の限界を印象付けてしまう
・資産買い入れの限界と受け止められるほか、複雑な仕組みは混乱・不安を招く
・金融機関の国債売却意欲を低下させ、国債買い入れ策の安定性を損ねる。金融機関の収益性を悪化させる
・マネタリーベース増加目標維持と論理的整合性に欠ける。テーパリングと合わせて実施する筋合いの政策だ
・他国中銀とのマイナス金利競争に陥ることを懸念。市場から財政ファイナンスと見なされるリスクが高まる