主な意見だけを見ると、マイナス金利の導入は今回の金融政策決定会合で初めて、多くの時間を割いて議論されたようにみえる。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、年初からの金融市場の混乱などを受け、「(執行部は)過去の議論との一貫性よりも、どれだけ効果が見込めそうかという可能性を手に入れる方がいいと考えた」とみる。
「今の日銀は安倍晋三政権の意向を忖度(そんたく)して動いている。高すぎる物価安定目標を実現するために、極端なことをしている」と話すのは、SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストだ。
今年は反対派に回った白井氏が3月、石田氏が6月にそれぞれ任期を迎える。2014年10月の追加緩和の決定も1票差だったことから、黒田日銀はいつも綱渡りの状態で重要な政策変更をしていることになる。