10年物国債の利回りは、住宅ローンや企業向け融資のベース金利となるため、それらの金利も引き下げられる可能性がある。現実はそう単純なものではないかも知れないが、少なくとも銀行の利ザヤは縮小し、利益は圧迫されよう。マイナス金利決定後、銀行株が大きく下げたのはその表れに他ならない。金利をもとに信用創造で利益を得ている銀行業にとっては、マイナス金利はまさに“氷の世界”。水の流れは大きく歪められかねない。
マイナス金利のしわ寄せは投信業界にも及んでいる。投信会社は相次いで主力商品であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の新規受け入れの停止に追い込まれた。MMFは短期国債やコマーシャルペーパーなどの安全性の高い金融資産で運用する投資信託だが、マイナス金利の導入決定を受け短期金融市場の利回りが急低下し、このままでは運用の継続が困難となったためだ。さらにMMFを繰り上げ償還することを決めた投信会社もある。その影響はいずれ同様の公社債投信であるMRF(マネー・リザーブ・ファンド)にも及ぼう。MMFやMRFは株式売買の待機資金がプールされる事実上の決済口座に当たる。それが氷のように凍結すれば死活問題化しかねない。