ドイツ銀は、サブプライム問題やユーロ危機などで他の欧州系銀行が事業を縮小する中で、積極的な投資を行い業容を拡大し続けた。これが業績悪化懸念の大きな原因となり、株式が売られ、資金調達コストが急上昇してしまった。そして、この過程で「CoCo債」という新種の債券の問題もクローズアップされた。
「CoCo債」というのは、債券と株式の中間的商品であり、銀行の自己資本に問題がない限り、債券として一般の社債よりも高い利払いを受けられる。しかし、銀行の自己資本に問題が生じた場合など“トリガー条項”にかかると、強制的に普通株に転換されたり、元本のカットが行われる債券だ。
本来、銀行が自己資本比率を維持するためには、新株発行による増資で資本金を増やす、または貸し出しを抑制するなどリスクポジションを増やさない、という選択になるわけだが、CoCo債は増資(希薄化により株価が落ちる)をしなくても自己資本が維持できる銀行にとって非常に便利な商品だったわけだ。