しかし、ドイツ銀問題でこの債券リスクが露見し、それがCoCo債全体のリスクを高める結果(債券価格の下落)になった。ドイツ銀の発行額だけで見れば46億ユーロ(約5800億円)にすぎないが、世界で発行されている総額は約1020億ドルに及ぶのだ。
今回の問題で、今後、銀行がCoCo債という容易な手段を利用して増資を行うことは困難となる。その結果、金融不安が一気に増大し、株式や債券が売られて「安全な通貨である円」が買われたのだ。
【プロフィル】渡辺哲也
わたなべ・てつや 経済評論家 日大法卒業。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。著書は「突き破る日本経済」など多数。45歳。愛知県出身