『牛肉資本主義』(井上恭介著・プレジデント社刊)【拡大】
完璧ともいえるビジネスモデルを誇ってきた日本の商社が、中国向けに買い付ける業者に「買い負ける」という、今まで考えられなかった事態が起きていた。
長年中国が輸入の急拡大を進めてきた大豆では、さらに信じられない「異次元」で「爆」な事態が進んでいた。日本の国土の5倍もある南米ブラジルの草原地帯が、どんどん大豆畑に姿を変えていた。
すさまじい量の大豆を作り、「大豆王」と呼ばれる農家が、世界の食を牛耳ってきた穀物メジャー相手に、価格交渉の主導権を握っていた。
その一方で、グリード(欲望)をむき出しにするグローバル資本主義は格差を増幅させ、競争に破れて、突然ホームレスに転落する人を増やす。