「増税延期」だけでは不十分 マイナス金利をテコに財政出動を (1/4ページ)

2016.3.13 07:20

【田村秀男の日曜経済講座】

 経済政策論議はようやく、消費税増税の凍結と緊縮財政からの転換に向かってきた。問題はこれからだ。一過性の財政出動の後は元のもくあみのデフレに舞い戻る。安倍晋三政権はマイナス金利と連動した財政支出のプログラムを作成し、実行すべきだ。

 世界では長らく、財政出動を重視する「ケインズ主義」が疎んじられてきた。金融政策、規制緩和に傾斜した新自由主義が幅を利かせてきたのだが、新自由主義論壇を代表する英エコノミスト誌が豹変(ひょうへん)した。2月下旬、「景気刺激策は尽きていない」という論説を掲げ、「財政政策と金融政策の融合」「紙幣を増刷して公共支出(または減税)を直接賄うヘリコプターマネーも選択肢の一つ」と。

 無理もない。チャイナリスクは深く広がり、収拾のメドが立たない。欧州は債務とデフレ圧力に苦しみ、格差がひどい米国では中低所得層が大統領選前哨戦を揺るがせている。2月末に上海で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は共同声明で金融緩和効果の限界を認め、財政出動を促した。

増税主義のメディアや学者たちはダンマリを決め込んでいるが、安倍首相周辺は…

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