「増税延期」だけでは不十分 マイナス金利をテコに財政出動を (2/4ページ)

2016.3.13 07:20

 日本は約2年前の消費税増税による後遺症を引きずり、アベノミクスは失速した。増税主義のメディアや学者たちはダンマリを決め込んでいるが、安倍首相周辺は「消費税を増税しても景気は大丈夫、と言った者たちをリストアップしよう」と言い、一気に来年度予算成立後の増税再延期と大型補正予算の作成に前のめりになっている。

 当然の流れだが、拙論が危惧するのは、財政出動をいかに成長に結びつけるか、という財政版成長物語の欠如だ。ただ単に、当面の景気情勢がおかしいという理由だけで、消費税率10%への引き上げを再延期するだけでは、前回の先送り後が示すように景気への効き目はないだろう。財政を動員し、動かない巨額の余剰貯蓄を実需拡大につなげる政府の明確な意思がないことには、慢性デフレに慣れきった消費者や企業が動き出すはずはない。

 緊縮財政と金融緩和の組み合わせ効果は不発だ。日銀は年間80兆円の資金を創出して金融機関に流し込む。円安・株高を呼んでいるときは企業収益をかさ上げし、富裕層の金融資産を膨らませた。その富が個人の所得や消費に滴り落ちる「トリクルダウン」効果について、エール大名誉教授で内閣官房参与の浜田宏一氏も「ちょろちょろとしている」と筆者に漏らしている。

政府の本来の役割は大、中小企業を問わず多くの経営者の血気を刺激すること

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