原油市場が乱高下している。従来は中東諸国が牛耳る需給を軸に相場が動いてきたが、ファンドや新興国の投機資金が台頭。米露など産油国の広がりに加え、各国の資源戦略や政治・外交も絡み合い、読み解くのが難しくなっている。
ニューヨーク市場で原油先物の取引規模は今や株式の約半分。ヘッジファンドなどの資金が2000年代以降急増している。そこに新興国の成長を見込んだ資金が原油相場に流れ込み、価格を引き上げてきた。
だが、中国やブラジルの成長が鈍ると、原油相場から資金が逃げ出した。一方で、地中深い岩石から原油を取り出す「シェール革命」が起きた米国や、国際社会で存在感を誇示したいロシアが生産量を拡大。中東産油国を中心とした石油輸出国機構(OPEC)の価格調整機能は「過去のもの」(英石油コンサルティング会社のFACTSグローバルエナジー)と揶揄(やゆ)され、原油相場は崩れた。
減産をめぐっても足並みがそろわない。資源戦略の再構築を迫られた産油国は、シェアを気にして互いに牽制(けんせい)。イスラム教スンニ派のサウジアラビアと、シーア派のイランの「中東の盟主」争いも大きい。米国がイラン核合意を主導した後、サウジによるイスラム教シーア派高位聖職者の処刑をめぐりサウジから断交されたイランは、サウジ主導の生産調整に抵抗した。
方向感を見いだせない原油市場は、資源をめぐり各国がせめぎ合う国際関係の縮図でもある。